MTAの有用性|目黒まついデンタルクリニック|目黒の歯医者|矯正歯科、審美歯科

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医療コラム

MTAの有用性|目黒まついデンタルクリニック|目黒の歯医者|矯正歯科、審美歯科

MTAの有用性

こんにちは。目黒まついデンタルクリニックです。

今回はMTAセメントという新しい材料についてご説明します。

歯科におけるセメントと聞くと、例えば被せものや詰め物を付けるための糊のようなものを想像する方も多いかと思いますが、MTAセメントは全く違う用途で用いられます。

MTAセメントとは

MTAセメント第二弾の発売について -YAMAKIN株式会社-根管治療の必須アイテム:MTAセメントとその効果とは?歯内療法wiki

MTAセメントは封鎖性と殺菌性に優れた歯科材料で、虫歯を除去した後に置くことで神経を残すことができる可能性がある材料です。虫歯治療だけでなく神経治療など幅広く使われる近年注目されている歯科材料です。どのようなパターンで用いられるのでしょうか。少し挙げてみると、

深い虫歯治療後の神経温存治療

神経治療後の根管充填・逆根管充填

神経再治療後などで根管に穴が開いている場合の封鎖

などで使われていきます。

総じていえることとしてはMTAセメントは封鎖性に優れているため、その利点を生かすための治療にかなり有用ということです。

MTAセメントの特徴

MTAセメントの大きな特徴は以下の4つになります。

・封鎖性が高い

MTAセメントの一番の特徴である封鎖性。多くのセメントは固まるときに少し縮まるということが起こるため、絶対的な隙間が生じてしまいます。隙間が生じると細菌にとっては、繁殖する場所を与えてしまいます。

それに対し、MTAセメントは硬化膨張という特徴があるため緊密な封鎖を実現してくれます。

隅々まで封鎖することで菌の流入を防ぐことができます。

・殺菌効果がある

MTAセメントは強アルカリ性の物質で、アルカリ環境下では最近が生き続けるのは難しいとされています。この殺菌効果により、封鎖した箇所の無菌化を実現することができます。

・生体親和性が高い

MTAセメントは生体親和性が高い材料です。従来のセメントや根っこの中に入れるお薬は、体の外に出ると異物と捉えてしまい、炎症が起こってしまいます。

MTAセメントは異物として捉えられることなく、またこのような炎症を起こすことなく、歯の硬組織誘導を促す作用もあります。

このことで根っこの中、または外でも用いることができる材料です。

・親水性が高い

MTAセメントは、親水性が高い材料です。

お口の中はどうしても完全な乾燥状態は難しいです。呼気や唾液、舌は頬の粘膜などどうしても水分に対するコントロールは難しいとされていました。

もちろんラバーダムといった水分を排除するやり方はありますが、MTAセメントの材料自体に親水性があるため、水分があったとしても治療や効果がはっきりと出るのがメリットになります。

ラバーダム防湿

MTAセメントを用いた根管充填

虫歯が根っこのほうまで到達してしまった状態だと強い痛みや膿が出てきてきます。

その際に神経を除去し、根管をきれいにして行く必要があります。これを根管治療といいます。

根管治療で根っこの中をしっかり洗浄し消毒をした後、除去した神経の管を緊密に埋める必要があります。このことを根管充填といいます。

根管充填の目的としては、開けた穴の部分を緊密に埋めることで再感染のリスクを下げる、また細菌の繁殖するスペースを作らないということが挙げられます。

従来この根管充填という処置には、ガッタパーチャとシーラーと呼ばれる材料が使用されていました。

ガッタパーチャとは、酸化亜鉛が主成分でそのほかにガッタという天然ゴム製のものや造影剤で組成されているもので、イメージ的にはこのガッタパーチャという金属の棒をシーラーと呼ばれる糊みたいなものでくっつけて封鎖しているだけです。

このガッタパーチャですが、生体親和性がないため、先が根の先に出ると細菌のたまり場になってしまったり炎症の原因になってしまいます。また嚙み合わせによりこのシーラーと呼ばれる糊が剝がれていくことが起こり、より細菌にとっては生息しやすい隙間を生じてしまいます。

そこでこのMTAセメントを用いることで硬化膨張による緊密な根管充填、また殺菌性による2次被害のリスク軽減ができるのです。

MTAセメントを用いた1症例

1つ症例をご紹介します。持続的な鋭い歯の痛みを感じ夜も眠れないくらいという患者様です。

残念ながら虫歯が神経に接しており、神経治療が必要との診断になりました。

まずラバーダムをして、根管治療から始めていきます。虫歯と感染した神経を除去し、薬で封鎖し1日目はおしまいです。

痛みは当日で完全になくなったとのことで、根管内がきれいなのを確認し、2日目は根管充填を行なっていきます。ラバーダム・マイクロスコープを用い、しっかりと根管内を確認し、MTAセメントを入れていきます。根管充填後のレントゲンがこちら。

緊密にMTAセメントが入っているのをレントゲンで確認し、補綴(被せもの)をしていきます。

現在痛みはなくしっかりと噛むことができるとのことです!

そのほかにMTAセメントが有用な例としては、パーフォレーションリペアと覆髄です。

パーフォレーションリペア

パーフォレーションリペアとは、根っこの治療や噛み合わせなどで歯に穿孔という予期せぬ穴が開いてしまった場合そこを埋める処置になります。穴が開いてしまうと細菌がその穴から出てしまい、歯の周りの組織で感染が起こり、骨が溶けたり膿が溜まってしまいます。また穴が開いていると噛み合わせによりさらに広がったり、破折と言って歯が割れてしまうそのことによって抜歯の危険性にもなりえます。

そこでMTAセメントを使うことで高い封鎖性を生かして、穴を埋めてくれることで起こりうるリスクを軽減してくれます。

歯髄温存療法(覆髄)

歯髄温存療法とは、言葉のとおり、歯髄を温存する方法です。虫歯が大きく、虫歯が進行して神経にまで達した場合には、MTAセメントを用いた歯髄保存療法を行う事で、神経を抜かないといけなかった症状でも、神経を温存できる可能性がでました。

虫歯を削ることで露出してしまった神経を殺菌性の高いMTAセメントで覆い、虫歯菌の不活性化によって神経を保護する治療法を覆髄といいます。

ここでもMTAセメントの封鎖性・殺菌性を有効活用することができます。

最後に

MTAセメントは近年の歯科医療において非常に注目されている歯科材料です。残念ながら保険適用外の材料ですが、数々の場面で活躍することができます。

目黒まついデンタルクリニックでは、MTAセメントの種類をそろえることでいろいろな症例に対応できるようにしています。

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