歯周病の検査について
- 2023年6月13日
- 治療
こんにちは。目黒まついデンタルクリニックです。今回は歯周病の最初の肝である「歯周病検査」についてお話したいと思います。
はじめに歯周病検査について
歯医者で検診を受ける際、ちくちくと歯ぐきを触られた経験がある方もいらっしゃるかと思います。すこし痛みを感じたり、そこから出血する場合があってなんでこんなことしているのだろうかと疑問に感じることもあったかと思います。もちろんわざと歯ぐきを傷つけているわけはなくこれからお話しする歯周病の診断・またこれからの治療について非常に有用な検査をしているだけなのです。
歯周病検査についてお話しする前に、まず歯周病について少しお話したいと思います。
歯周病とは
生活習慣病の1つにも挙げられる歯周病、なかなか自覚症状としてでることは少なく、自覚症状としてのいたみがでてしまうとすでに歯が重度の歯周病にかかってしまい、歯を抜かないといけないといけないなんてことも…
歯周病について簡単にお話しすると、歯周組織に対する疾患で、歯そのものというよりは歯を支える組織に対してトラブルが起こっている状態で軽度ならば歯肉炎という歯ぐきから出血する程度ですが、そこから歯と支える組織の付着を剝がしていくという疾患です。
歯周病は、日本人の歯を失う原因の第1位とされています。もちろん細菌感染なので、お口の中に細菌がいるという観点でいえば、80パーセント以上の方が歯周病を患っていると言われています。
そして近年、歯周病は大切な歯を奪ってしまうだけでなく、全身疾患とも深くリンクしていくということ言われております。代表的なものでいえば高血圧や糖尿病がそこに当たります。歯周病菌が肺や血液を通じて全身をめぐり、糖尿病や生活習慣病などさまざまなトラブルを引き起こすことがあります。
どのような流れで歯周病は進行していくのでしょうか。下の図をご覧ください。
歯と歯茎の間に汚れが溜まっている様子がわかると思います。このように、歯と歯ぐきの間という場所はとくに汚れが溜まりやすく、この汚れのことを「プラーク」と呼びます。
このプラークとお口の中にいる歯周病の菌が結合してしまうこととさらに唾液のカルシウム成分と結合し、固くなり「歯石」と呼ばれるものになります。この状態になってしまうと、普通の歯ブラシでは除去することはできず、専門的に除去していかないと、歯周病は悪化してしまう一方になってしまいます。
歯周病の進行について
軽度歯周病
プラークが溜まることで歯ぐきに炎症が起こってしまい、歯ぐきが腫れたり出血したりすることがあります。支えている骨のほうまでは進行していませんが、歯と歯ぐきの付着をはがしていくことで「歯周ポケット」という、歯と歯ぐきのあいだの溝の部分がどんどん広がってしまいます。そのことによりより汚れが溜まりやすくなり、たまった汚れに対するアプローチができなくなり、歯周病はどんどん進行してしまいます。
中等度歯周病
先ほど述べた歯石が残ったままになってしまうと、歯と歯をつなぐ付着の部分が剥がれていき、今度は支えている骨のほうまで溶かしていきます。歯ブラシで届く範囲はせいぜい深さ的には2‐3mm程度なのでそこより深い位置にある汚れは停滞し続けてしまいます。この状態になると、口臭だけではなく、出血が多くなってしまったり、歯の動揺といってぐらつきが出てしまいます。ここで自覚症状としてでてくることが多いです。
重度歯周病
重度歯周病の状態になってしまうと、動揺と言って歯の揺れがかなり顕著になってしまいます。さらに噛むと痛いなどの症状ももちろんのこと最悪のケースの場合、自然脱落といって何もしない状態でも歯が抜けてきてしまう可能性もあります。もちろんこの状態ではセルフケアで対応できない、また歯科治療でもその歯を残すことは困難になる可能性があるので、歯医者での診断も抜歯となってしまうかもしれません。もちろんこの重度歯周病の状態でも歯を残していける努力はできる場合もあります。
歯周病の検査について
今まで歯周病の状態をご説明しましたが、ではどのように軽度や中等度、または重度と判断していくのでしょうか。その1つの指針となるのが、「歯周病検査」です。
この歯周病検査とは、「ポケットプローブ」と呼ばれる細い器具のようなものを歯と歯茎の間に挿入し、歯と歯茎の間の深さを測定します。このことをポケットプロービングと言います。
歯ぐきにこの金属製のポケットプローブをいれると痛いのではないかと思うかもしれません。正しいプロービングは圧力を15gの軽い力で歯ぐきに挿入していくので基本的には痛みを感じることはありません。この深さによって先に述べた歯周病の状態の評価が変わってきます。正常値は2‐3mm程度の深さですが、4mmを超えてくると中等度、さらに重度に近くなる評価になります。イメージ的には歯ブラシで届く範囲の2‐3mm程度は正常歯肉それ以降の深さになってしまうと歯ブラシが届かないという判断になっていきます。
目安としては、
1~3mm 正常値
4~5mm 初期~中等度歯周病
6~9mm 中等度~重度歯周病
10mm以上 重度歯周病 となります。
ポケットプロービングでは歯周ポケットの深さに加え、歯ぐきの炎症も診断しています。これをBOPといい 、bleeding on probingの略です。正しい圧力で挿入した際、その歯ぐきに炎症が起こっている場合、歯ぐきから出血していきます。この出血の有無も歯ぐきの評価をするために必要なのです。
この他にも歯周病検査には、歯ぐきの弾力や色、また各々の歯の動揺度、歯垢や歯石の量などを確認しながら歯周病の進行状態を検査しています。
そのなかでも代表的なのは動揺度の検査です。簡単に言うと歯の揺れている程度の検査です。
動揺度の評価には, 通常このMillerの分類法が用いられています.
- 0度 生理的動揺の範囲内(0.2mm以内)
- 1度 頬舌的にわずかに動揺(0.2〜1mm)
- 2度 頬舌的に中等度, 近遠心的にわずかに動揺(1〜2mm)
- 3度 頬舌的, 近遠心的のみならず, 上下方向にも動揺(2mm以上)
このように総合的に歯ぐきの状態を判断することによって、現在の歯周病の現状を確認し、そのうえで初期治療や今後の方針を決定していきます。下の図のように表にしたうえで患者様1人1人に現状をお伝えします。
最後に
歯周病の検査はすべての治療の入り口であり、これからの治療の指針になる大事なステップです。目黒まついデンタルクリニックでは歯周病でお悩みの方もしっかりと治療を行なうことができるように、1つ1つの検査をしっかり行ない、診断を大切に治療を行なっていきます。