マウスピース矯正におけるIPR
- 2023年6月5日
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こんにちは。目黒まついデンタルクリニックです。
当院も開院して3か月がたち、いろいろと経験することも多く、その中でベストを尽くすことに対して最大限の努力をしてきたと考えております。来てくださっている患者様には感謝しかありませんし、そのなかでみなさまのお口の中の健康の一部を担うことができればと思い、院長ふくめスタッフ一同より一層の研鑽を行ない、万全のオペレーションでみなさまをお迎えできればと考えております。
今回はIPRについて少しお話しできればと思います。
IPRとは
IPRと聞いてもみなさまピンとこない言葉だと思います。どのようなときに用いるのでしょうか。
IPRは矯正時に必要に応じて行なう手技で「Inter Proximal Reduction」の略で隣接歯間の削合といいます。つまりスペースが足りず例えば叢生といって歯並びがガタガタしてしまっている場合に、歯を抜いてスペースを作るのではなく、最小限の切削を加えスペースを作り、そのスペースを生かして歯を移動させてきれいに並べていく方法です。
削ると聞くとやはり牽制される方も多いと思いますが、エナメル質の範囲内で最小の切削のみをおこなうので、知覚過敏や虫歯になりやすくなることはほとんどあり得ません。数々の論文で切削によるダメージによる歯の予後に差はないことが確立しているからこそ、今日の矯正治療で取り入れられている方法です。イメージとしては「歯と歯の間にやすりをかけること」と思っていただく方がいいかと思います。
IPRの目的
歯の移動を行うスペースを作る
IPRの主な目的は矯正において歯の移動できるスペースをしっかりと確保することです。
この図のように叢生と言って、顎の許容量にたいして歯の大きさが大きくうまく並ばない状態になるといわゆる八重歯のようなガタガタとした歯並びになってしまいます。叢生の状態だと歯と歯の間の汚れのケアが難しく、そこから歯周病や虫歯になることも…
叢生の改善には抜歯をしてスペースを作る方法もあります。ただ抜歯しなくてもこのIPRという方法で済むパターンもあります。
これがIPRの主な目的ですがそれ以外にも有効利用できるパターンがあります
歯の大きさと形を整えることができる
患者様1人1人で歯の大きさ・形で個性があります。またバランスにも違いがあるパターンもあります。あるいはお顔の正面からの見え方によって長さや形が変わります。IPRをすることでその方に合わせた歯の見え方の工夫も行なうことができます。
ブラックトライアングルの改善が期待できる
ブラックトライアングルとは歯茎が下がることによって生じてしまう隙間のことで、前から見ると隙間が黒く見えるので、ブラックトライアングルと言います。見栄えはもちろんのこと、隙間に汚れが入る可能性があります。
IPRをおこなうことでさらに歯を移動させ、このブラックトライアングルを改善していきます。
IPRを行うにあたって
IPRは全部の矯正で必要なのでしょうか?答えは「いいえ」です。結論としてはIPRを行う場合と行わない場合があります。矯正するときにすきっぱの状態であれば無理に隙間を作る必要はありませんし、前述した叢生の場合はスペースがないので、永久歯を抜歯したり、IPRでスペースを作ったりするパターンがあります。そこで大切になってくるのが「診断・シミュレーション」です。
診断・シミュレーション
目黒まついデンタルクリニックでは、より確実にマウスピース矯正治療を行なうために診断・シミュレーションを最も大事にしております。
クリアパイロットというソフトを用いて、まず現在の歯の並びの状態を口腔内スキャナーで撮影していきます。その後口腔内写真も撮影し、レントゲン写真と合わせてこのクリアパイロットのシミュレーションにもっていきます。1週間程度でマウスピース矯正のシミュレーションが出来上がります!マウスピースの枚数は何枚なのか、IPRはどこで行うのか、アタッチメント(プラスチックレジンのボタンのようなもの、これがあることでマウスピースにひっかかり矯正力が出ます)はどの歯に装着するのかなど、矯正のスタート・ゴールが視覚的に捉えることができます。
治療前後あとは途中の3次元治療計画のシミュレーションですので、患者様もどのようにゴールが出てくるかわからないなどという不安を取り除くことができ、よりマウスピース矯正へのアプローチがしやすいのではないでしょうか。目黒まついデンタルクリニックでは、シミュレーションのみは無料になっております。矯正したいけどどのような形になるのかななどの不安を取り除く上でもシミュレーションだけでもぜひご相談ください!
IPR後の注意点
歯と歯の間にものが入りやすい
歯と歯の間を削ることになるので、しみる可能性は少ないですが、歯が移動しきるまでは隙間が大きく、たべかすが入ってしまうこともあります。そのためセルフケアがとても大切です。フロスや歯間ブラシがとても有用です。マウスピース矯正は取り外し可能なので、ワイヤー矯正と比べ、お掃除はしやすいと思いますがどうしても毎日のセルフケアに依存するところがあります。
またおおきな虫歯になってしまうと矯正の計画を練り直さないといけない場合があります。
歯と歯の間が出血する場合がある
歯と歯のあいだにダイヤモンドのバーを入れるなどして削ることになるので、歯茎の炎症が強いかたは一時的に出血する場合があります。出血する場合でも1日程度で落ち着いてきます。
最後に
矯正治療においてIPRは必要な場合もありますが、正確な診断・シミュレーションをもとに行うべきです。せっかく矯正をしたのに歯がスカスカで終わってしまっていたら意味はないですし、よりほかのトラブルのもとになってしまいます。
IPRは矯正において非常に大事なステップです。目黒まついデンタルクリニックでは、IPRだけでなく総合的な治療にも対応しておりますので気軽にお問い合わせください。