食いしばり・歯ぎしりにお悩みの方へ~ボトックス注射~
- 2023年8月24日
- 治療
こんにちは。目黒まついデンタルクリニック院長松井優人です。
お盆休みをいただきまして、より一層パワーアップして今後も診療していければと考えております!
今回はブラキシズム、食いしばり・歯ぎしりなどという習慣的に噛んでしまっていることによる問題やその対処法についてご説明します。
寝ているときに歯ぎしりしているよと言われたことがある、肩こりがひどいかみ合うときに歯が痛いなどとお悩みを抱えていらっしゃる方は多いのではないでしょうか。ブラキシズムは現代病の1つと言っていいほどに多くの方が悩んでいらっしゃる問題になっています。
ブラキシズムとは
まずブラキシズムとはなんなのかということについてご説明したいと思います。そもそも食事以外に噛む必要はなく、食事以外の場面で起こる悪い習慣であるかみ合わせのことを「ブラキシズム」といいます。そもそも安静空隙といって、なにもしていないときは上下の歯は2mmほどの隙間があるはずで、そこで噛んでしまうと少なからず歯や顎の負荷をかけてしまいます。後述しますが、顎関節症の原因にもこのブラキシズムはあてはまることがおおいです。このブラキシズムは食事で噛む時よりもはるかにおおきい力で歯に負荷を与えてしまいます。
ブラキシズムは睡眠時と覚醒時のブラキシズムに分類され、さらにこのブラキシズムには種類があります。
・グラインディング
歯ぎしりのことです。上下の歯を左右に動かし、ギリギリとすり合わせることをグラインディングと言います。音が大きくすることがあるので他人から指摘されることで認識することが多いです。
・タッピング
習慣的に上下の歯を軽くカチカチと噛み合わせることをいいます。
・クレンチング
食いしばり、噛みしめとも言います。上下の歯をぎゅーっと強く噛みしめることをクレンチングと言います。
ブラキシズムの原因
ブラキシズムは現在正確にこれだという原因はありません。総合的に判断していく問題なのでいろいろな要因が考えられます。
ストレスや歯並びの乱れ、噛み合わせ不良、寝るときの姿勢や枕の位置、眠りの浅さなどが挙げられます。もちろんどれがその方にとって原因なのかわからないことが多いので、原因よりもまず対応していくことが治療としては多いです。まとめると肉体的・精神的ストレスが原因と言われています。
ブラキシズムによって生じる悪影響
先ほど述べた通り、食事以外で嚙む必要は全くないので、その力が歯に伝わってしまうと悪影響を及ぼしてしまいます。
歯のすり減り
咬耗とも呼ばれます。歯ぎしりをすることで歯がすり減ってしまいます。歯がすり減ってしまうことで知覚過敏が誘発されてしみるこ症状が出てしまったり、噛み合わせが変わりほかの歯への影響が起こる場合があります。
くさび状欠損
歯ブラシでしみる症状が全体的に出る場合がある方もいらっしゃると思います。それで歯科医院に行ったのに虫歯ではないと言われたご経験がありますか。この場合、「くさび状欠損」という状態に歯がなっている可能性があります。このくさび状欠損とは、歯の付け根部分が欠けてしまうことをいい、ブラキシズムの強い力がかかると、その応力が集中しくぼむように歯が欠けていきます。特に歯ぐき際の付け根部分は神経との距離が短いのでその部分が欠けてしまいますと、知覚過敏が誘発されてしまいます。
歯の破折
強い力がかかると歯が割れてしまう可能性もあります。特に一度治療している歯は特にこの破折という可能性を上げてしまう可能性があります。腕の骨折と違い、歯の破折は治ることがないので、割れ方によっては残念ながら抜歯ということになってしまいます。もちろん歯科において、歯周病菌・虫歯菌という菌が歯を悪くすることは多くの事例でありますが、力も馬鹿にできないほどダメージを与えてしまう要素なのです。
歯周病の助長
歯周病菌によって骨が溶けたり、歯茎が腫れてしまうことが歯周病という疾患ですが力がかかりすぎると骨吸収を起こしてしまい、歯周病が進んでしまう可能性があります。
肩こりなどの全身的な悪影響
ブラキシズムをしてしまうことで顔のこわばり、エラが張っていく、肩こりや頭痛の原因になってしまうことがあります。
顎関節症の原因
顎がかくかくする・あけにくい、口を開けるとき痛むそのようなご経験がある方もいらっしゃると思います。この開口・閉口時に顎の症状が出てしまうことを顎関節症といいます。顎関節症の原因の1つにブラキシズムが挙げられ、必要ないところで噛むことで筋肉や顎の関節にダメージが加わってしまいます。
ブラキシズム自体はなかなか自分で見つけることは困難ですが、歯科医院でレントゲン撮影した際の顎の骨の状態や筋肉の状態の確認ができたり、口腔内の歯の状態、歯周組織の状態からしっかりと診断することができます。自覚症状が出る前に一度チェックをしてみることが大切です。
ブラキシズムの治療、対処方法
ブラキシズム自体をやめるというのはかなり困難です。そのため、噛んでしまう事象に対してのアプローチが基本的な治療手順となります。大きく分けると生活習慣の確認見直し、ナイトガード、ボトックス注射というのが主なステップとなります。
生活習慣の確認・見直し
ブラキシズムはなぜやられているのかはっきりとしないケースが多いので、例えばストレスであったりとか寝る姿勢であれば少し改善策があると思いますので、生活習慣の確認をしたのちに改善アプローチをしていきます。
ナイトガード
寝るときにつけるマウスピースのことです。矯正のマウスピースとは違い、うごかすためではなく力がかからないようにするためのものです。
具体的には、いまの上顎の歯型を取り、1週間ほどで完成してきます。しっかりと歯型をとることでフィット感が得ることができ、寝るときに外してしまうことを防ぐことができます。主なナイトガードの役割としては、歯にかかる力の分散、歯ぎしりをしている場合、歯同士でこすれないようにすることで摩耗を防ぐ、つめもの・かぶせものの破折防止、顎関節と筋肉の負荷を減らす役割があります。意識下であれば噛んでいることを自分でケアすることができますが、無意識のうちの予防はできないので、寝るときにマウスピースをいれることでしっかり噛めないようにしていき予防します。
ナイトガードは保険診療でおこなうので費用は3000~4000円程度になります。
ボトックス注射
皮膚科などでボトックスのことを知っている方も多いかと思います。目黒まついデンタルクリニックでもボトックス注射を導入しております。ボトックスの役割としては美容以外にくいしばり・歯ぎしりなどのブラキシズム時の筋肉の弛緩が挙げられます。
目黒まついデンタルクリニックのボトックス治療
特に目黒まついデンタルクリニックでは咬筋に対して、このボトックスを用いています。ボツリヌス毒素から毒素を抜いたタンパク質部分を抽出したものを細い針で咬筋に数箇所打っていきます。何単位打っていくかは患者様とお話して決めていきます。
ボトックスを打ったところは筋肉が弛緩し、ブラキシズム時の筋肉の痛みが減っていきます。
ただボトックスは一生もつものではありません。平均6か月程度でまたボトックスをやる必要性があります。いかに特徴をまとめます。やはりブラキシズムは直接的にやめることが難しい分その周りから治療を行なうことが大切です。
ボトックスの目的
筋肉を弛緩させる作用(咬筋への注入による歯ぎしり・食いしばり改善効果など)
ボトックスの作用部位
左右咬筋に数か所(3~5か所程度)
ボトックスの作用期間
数日~1週間後から効果が出始めるケースが多く、筋肉のゆるみを実感するケースが多いです。
おおよそ3か月から6か月でボトックスが切れていきますのでまた打っていく必要が出る場合もあります。
ボトックスの注意事項
・注射針による内出血
・筋肉の収縮抑制に伴う違和感、筋肉の減弱作用
・極稀に発熱、吐き気、頭痛(約0.5%)
・妊娠中の方は使用できません
・当日の激しい運動・飲酒はお控えください。
最後に
目黒まついデンタルクリニックでは、ブラキシズムに対応できるよう、ボトックスを新規に導入致しました。ぜひ一度ブラキシズムでお悩みの方はご質問いただければと思っております!